2025年11月14日金曜日

美味しくない幸せ

少し前なのだが、防災バッグの非常食の賞味期限が切れた。

それらをたまに消費するわけなのだが、どうしても処理が進まない食品があった。

味噌汁である。粉末を溶かすタイプなんだけどね。


ちっぴーと初めて飲んだ時「これは美味しくないねぇ(笑)」と顔を見合わせたもんだ。

そのあと一、二回飲んだが、飲むのを止めてしまった。


今日、お弁当のお供に、それを久しぶりに飲んでみた。

まぁまぁ、無いよりはいい。

しかし、美味しくはない。


ここで、どこからか声がする。

有事の際には、それすら貴重なのだから、ありがたくいただくべきだと。

旨い不味いなど、防災食に対して言うのは不遜であると。


しかし、ここで僕は思う。

今は有事ではない。少なくとも日本は。

だから、この粉味噌汁を「美味しくない」と思えるのは、食が充実している証。物資がキチンと流通してくれている証なのだ。

この粉味噌汁を飲まないで捨てて、他のインスタント味噌汁や、自炊した味噌汁を飲むこともできる。

ガスや水道も滞っていないのだから。


この味噌汁美味しくないなぁ、と。

僕は思い切り思うよ。

だって、この味噌汁を美味しいと思える時は、平和ではない時、災害が起こった時だろうから。


この美味しくない幸せを噛み締めていいじゃん。

味噌汁は噛まないけど。

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